生きていれば様々な悩みにぶち当たります。
これは今も昔も変わらない。そんな悩みに哲学者・思想家たちが答えてくれる本。
分かりやすい言葉で書かれているので読みやすいです。
こんな人におすすめの書籍
『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』は以下のような人におすすめです。
- 哲学をかじってみたい人
- 色んな哲学者をざっと知りたい人
- 自分の悩みに問いかけてみたい人
- 恥ずかしくて他人に相談できない人
特に悩みがなくても他人の悩みに答えるつもりで読んで、自分の考えと比べてみるのも面白いです。
多くの人が悩んでいそうなテーマ
ちょっと子供っぽい悩みから重いテーマまで。
様々な不安に悩み→哲学者紹介→回答→哲学書紹介という形式で書かれています。
将来食べていけるか不安
答えるのはアリストテレス
紀元前の古代ギリシャ哲学者で「万学の祖」と言われていました。
この質問にはこの名言を「働く喜びが、仕事を完璧なものにする」
将来の目的や計画をいったん忘れます。
今、この瞬間にやりたい事をやり過程を楽しむことで最高のパフォーマンスが出せて結果が付いてくるといいます。
よく言われる嫌な事を仕事にせず、自分が楽しめる仕事につけというのはこれと同じ考えですね。
プロセスを楽しんだら結果はオマケ、おつりみたいなものでしょうか。
お金持ちになりたい
答えるのはマックス・ウェーバー
ドイツの政治学者・社会学者・経済学者。近代社会学の重鎮にして創始者ともいわれる。
この答えに合う名言ならこれはピッタリかも「 情熱なしにできることは、すべて無価値である」
こちらも上記のアリストテレスとよく似た意見です。とにかく金持ちになりたいなどという執着を捨ててください。
夢中になり情熱を傾けられることに集中しストイックに働く事で結果がついてくる。
2つの回答が似てますね。努力すると言うよりは夢中になれという事ですね。
夢中になれるものが見つかった人は幸運をつかんだようなものです。
ただ夢中になれるものを見つけるのがなかなか難しいんですが・・・。
やりたいことはあるが、行動に移す勇気がない
答えるのはルカ・デカルト
フランス生まれの哲学者、数学者。合理主義哲学の祖、近世哲学の祖といわれる。
有名な名言は「我思う、ゆえに我あり」です。1度は聞いたことあると思います。
意味は受け売りですが、色んな物事を疑ってかかっても自分の意識だけは疑いようがない。
よって自分の存在は自分にとって絶対なのだという。
行動になかなか移せないというのはよくあります。大きいものだと、やりたい事はあるが会社を辞めれない。日常生活だと小さな用事が面倒。
目標の単位を細かくしていくことで解決
10年後○○になりたい
では3年後どうなってれば近づけるか
それを1年→1か月→1日と徐々に小さくする。
目標を細分化することで自分の手に負えるサイズにしていきます。
さらには数時間、休み時間、通勤時間など数分単位に落とし込んでいくことで達成できる。
そして、日々達成していくことで達成感が快楽となりどんどんクリアしていき夢に到達する。
これ何度かチャレンジしてます。TODOリスト作ったり、スマホのスケジュールに登録したりでも数週間しか持たないんですよね。
これを持続する良い方法があったら逆に知りたいです。
目標にサブゴールを付けて小さく刻んで達成するっていうのは賛成です。
メンタルが弱っている時に悩みそうな事
メンタルが弱っている時って誰にでもありますよね。
普段、あまり何とも思わないような事でも、ちょっと鬱々と考えてしまいがちです。
そんな悩みにも答えてくれています。
思い出したくない過去をフラッシュバックする
答えるのはフリードリヒ・ニーチェ
ドイツの哲学者、古典文献学者。代表作:『ツァラトゥストラはこう語った』、『 善悪の彼岸』
名言というか用語だけど「神は死んだ」が一番有名ですが、この悩みへの名言はこれですね。「忘却はよりよき前進を生む」
よくありがちなドラマで復讐を企む人に、忘れて幸せになる事こそ復讐だ的な事いいます。あれとちょっと似ているかも。
この本では永劫回帰。不幸な体験がなければ、いい思い出もないわけで、両方あるから人生は辛く、そして楽しい。
振れ幅の大きい人生をこそ楽しむこと。
悲惨な運命でも愛せるとニーチェはいいます。過去の辛い記憶は今を生きる自分が頑張るためのガソリンとなる
個人的にはこの考えは微妙です。辛い記憶とか無い方がいい。
こういう関係の本で、どんな辛い悩み事も死ぬ直前には全てギャグって書いてあってそっちの方がしっくりきます。
夜、孤独を感じる
答えるのはアルトゥル・ショーパンハウアー
ドイツの哲学者。代表著は「意志と表象としての世界」3巻まであって読むのに苦労しそうで手を出しにくい。
ハウアー語録
- 「我々の不快は全て独りでいることが出来ないという事から起こっている」
- 「我々の苦悩のほとんど全部が社交から生ずるものである」
さすがにちょっと人間嫌いが過ぎる気がしますが、本当にこの方は孤独な天才って感じですね。ちょっと興味持ちます。
また世界や歴史に意味や目的などないとする考え方で「ペシミズム哲学」といいます。
夜に孤独に陥った時は?
- 自分の内面を深く耕せ
- 興味を遊ばせながら孤独を楽しむ
- 好きなものをとことん掘り下げる
- 自分一人でしかできない仕事に没頭
要するに、自分でしか出来ないことをやって孤独な時間を有意義に過ごせという事ですね。
身近な共感できる悩みから人生的なものまで
これ以外にもちょっとくだけた悩みから、深刻で重いものまでさまざまな悩みに歴史的哲学者が答えています。
結構共感する悩みばかりです。
- 忙しい
- 他人から認められたい
- ダイエットが続かない
- 死ぬのが怖い
- 重い病気にかかっている
など誰もが1度は考えるような悩みですね。
本の中で紹介されていて気になった著書
ハイデガー「存在と時間」
ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」
絶望や後悔の時にこそ読むべき
ショーペンハウアー「幸福について-人生論」
孤独のススメ。独りになって自分を磨くことが大事
親鸞「歎異抄」
「歎異抄」は特に日本の多くの著名人から絶賛されています。
日本の知識人の多くが晩年に行きつくのが親鸞の思想と言われています。
『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』
司馬遼太郎は無人島に一冊持っていくなら「歎異抄」と言ってます
『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』を読んだ感想
哲学を少しどんなものか覗いてみたいくらいの気持ちで読んでみました。
悩みなんて結局誰もが似たようなことで悩んでるのかも。
というのが読み終わった直後の感想。
誰でもが悩んでそうな悩みに古今東西の哲学者が答えるというものですが、これを読んでも解決はしないです。
ちょっとはぐらかされているような部分もかなりあります。
それでも最近の著名な人たちの言ってることと、よく似てますね。
将来食べていけるか不安の回答とか、よく好きな事を仕事にしろとか楽しめとか、言ってる人ネットで見かけますが同じ考え方ですね。
ダイエットが続かないの項目で、高い快楽と低い快楽があり、高い快楽を選ぶことで成功体験につなげるというのは面白いし実行できそうと思いました。
なかなか本の飛ばし読みが出来ないのですが、この本は自分の気になる項目だけ拾い読みでいいと思います。
そういう意味でも読書の練習になったかな。
悩んでも仕方ない。人生楽しんだもの勝ちという風に取れなくもない本でした。
答えてるというよりはこういう考えもあるんだという感じです。
楽しく読めました。