サブタイトル
『中年シングルだってイイじゃない!』
岸本葉子さん39歳、横田濱夫さん42歳の時に書かれた本です。2000年発行です。
著者:岸本葉子
神奈川県出身
就職体験を書いた『クリスタルはきらいよ』で出版デビュー。
数多くのエッセイを出版している。2000年代からおひとりさま関連のエッセイもポツポツ出版している。
趣味は俳句。この本は横田濱夫氏との共著になる。
著者:横田濱夫
東京都出身
元銀行員。銀行の内幕を暴露した『はみ出し銀行マンの勤番日記』を出版しベストセラーとなる。
wikiには2007年ごろまで作家として活動となってっますが今はどうされてるんでしょう?銀行やお金関連の本をたくさん出版されています。
この本の特徴
ちょっとした対談形式になっていて読みやすい。
- クスっと笑えるエピソードが満載。特に横田濱夫さん。
- 老後の事とかも書かれているのですが悲壮感はあまりないのがいい。
- 自分の中で何が不安なのかを見つめるきっかけになるかも。
- 男性のおひとりと女性のおひとりの違いが分かる
おひとり様のエッセイ形式の対談って感じです。
ひとりが怖いのか、それ以外が怖いのか
30の頃、急に恐れはじめたのは「このままずっとひとりで歳をとって、病気になったら」「ひとりの家で死んだら」の「ひとり」の部分ではなく、「老」「病」「死」の部分だったと。
引用元:「ひとり暮らし」の人生設計
確かに一人であろうが、家族といようが、老いも病気も死も誰だって不安ですよね。一人でいる事と関連付けて考える必要はないかもしれない。
特に「老」と「死」は人間である以上、逃れることは出来ないです。
ちなみに死ぬのが怖いとよく言いますが、「死」のどの部分が怖いのかも人によって違うと思います。
死んだあとが怖いのか、死んで人に忘れ去られるのが怖いのか、この世から自分の存在がなくなることが怖いのか・・・。
考えると夜眠れなくなりそうですね。
共感した部分
セールスや勧誘に応対していると、世の中の人が、私くらいの年の女性には「夫がいるもの」と、いかに決めてかかっているかがよく分かります。
引用元:「ひとり暮らし」の人生設計
これすごい共感してしまった。
「結婚してるの?」どころか「お子さん何人?」っていきなり聞いてくる人とかたまにいるから。特にご年配の方。
著者は勧誘にそう言われたら、「世帯主は私です」ときっぱり言うらしいです。
女性なら「主人と相談します」で逃げるのも手ですよね。
マンションを買ったのも、家賃がもったいないのと同時に
引用元:「ひとり暮らし」の人生設計
「年をとって、貸してくれなくなったらどうしよう」との恐怖があったから。
これ凄く共感しました。私もこれです。実家があったなら多分家は買わなかった。
著者はテレビ番組でアパートの建て替えにより、そこに住んでいたおばあさんが新しくアパートを探すのですが、高齢を理由に断られて、次の住まいが見つからないのを見て怖くなったのだと言います。
今も高齢を理由に断る賃貸があるかどうか分かりませんが、他人事じゃなくて高齢になってから住む場所がないなんて恐怖でしかないです。
「独ハラ」という言葉
この本2000年出版なんですが、20年も前からこの言葉あったんですね。
シングルハラスメント
どういう事かというと「いい歳して独身なのは何かあるんじゃないのか」という偏見や嫌味の事を言うらしい。
嫌味はないけれど、結婚しない理由をしつこく聞かれたことあります。これも「独ハラ」に当てはまるらしいです。
訴えたら勝てるのかしら。
まさかとは思うけど男性なんかだと独身だと出世に響いたりとか、未だにあるんでしょうか?だとしたら可哀想ですね。
独身の不便な点
著者は生命保険に入っているのですが、独身なので保険の受取が母親。母親の方が先に死ぬって分かっているのに自身の生命保険の受取人になっている事への情けなさを語っています。
私は受取人すらいないので生命保険に入っていないのですが、この本を読んで、確定申告の時に生命保険の内訳で受取人を書かなければいけないと知りました。
生命保険って受取人が亡くなったら、どうなるんでしょうね。ここ気になります。
他にも独身の不便な点と言えば、私は何といっても
- 家具を購入したい時や移動させたい時
- 家に帰ってから外食したいと思った時
- 入院した時
- 長期不在にするとき
- 自然災害のとき
なんかは独身だと不利です。
ただ、外食は一人で行けばいいし、家具は便利屋に頼めばいい。
入院も病院の相談窓口で相談し、長期不在も定期的に掃除や郵便物の預かりをやってくれる業者があります。
自然災害は怖いけれど、怖さは一人でも家族居ても同じ。
ただ実家がある人みたいに実家に避難とか出来ないので、避難所に行くか、どこかホテルでしばらく暮らすとか
どちらにしろ一人で生きていくならお金が最重要となります。
世の中お金じゃないと言う人は仲の良い助け合う家族がいる人はそれでいいかもしれない。
でも一人だと絆とか愛とか言ってる場合じゃありませんお金が大事です
この本で知った事
自治体による公的ケアで、著者の住む市では不動産さえあれば、その評価額の範囲内で有料のサービスを受けられる制度があるそうです。
『福祉公社』というらしいですが、これ初めて聞きました。
制度の適用を受けるには不動産所有が条件なんだそうです。
そんなサービスもあるんですね。また暇を見て詳しく調べてみます。
私の勝手な予想ですが、30年後とかはこういうサービスが相当増えているんじゃないかと思ってます。
感想
著者の岸本さんお金持ちですね。
マンションを購入されたことも書いてあるのですが、銀行から3000万円借り、25年ローンで、月々の支払いが13万5千円。
ヒーッ!私なら絶対無理です。
なぜなら私の手取りが月16万程度です(笑)
たいして贅沢もしてないのに月々の支出が40万~70万って。羨ましい限りです。作家って儲かるんですね。
途中、横田さんが結婚した時のデメリットやリスクを考えるんですが、その一文が面白いです。
ガキがグレるリスク、そしてそのガキに金属バットで殴られるリスク。いやいや、可能性としてはあるけど、相当低いです。
同じシングルでも男性と女性では困るシーンも違うし、捉え方も少し違うんですね。
最後は自分の心の欲するままに生きるのが一番と締めくくられてるので、思うがまま生きて、なるようになるのでしょう。