BOOK/本

人生は独身一人でもOK「103歳になってわかったこと」 篠田桃紅著

2021年5月6日

人生は一人でもOKです!

100歳を超えてもなお、第一線で活躍する現代美術家・篠田桃紅さんのエッセイ。

篠田さんの人生観を語られています。


帯には
「いつ死んでもいい」なんて嘘。生きているかぎり、人間は未完成。

著者:篠田桃紅

1913~2021年(107歳没)東京在住。

墨を用いた抽象表現者として世界的に知られている。作品は大英博物館やメトロポリタン美術館に収蔵されている。

5歳から筆を握り、40歳を過ぎて単身渡米。ニューヨークのギャラリーで作品を発表し世界的に評価される。2021年の3月に老衰で死去。

衝撃を受ける冒頭部分

てんこ

著者の篠田桃紅さんがこの本を書いたのは103歳のときです

冒頭で篠田さんは103歳で死を意識したことがないという。この一文でもう驚きました。

理由は考えても仕方ないし、どうにもならないから。

そもそも、死後など人の領域外の事なので分からないというのが理由。

要するに死は考えなければ怖くないというのです。

たしか以前、哲学の本で人に嫌われたくないという意見に対しての答えがありました。

それは自分の領域外、人の気持ちなんてその人にしか分からない。

だから考えても無駄だという考えでした。悩んでも仕方ない事で悩まないという事でしょう!

生涯独身だった篠田桃紅さん

結婚しても幸せとは限らないし逆もまたしかり。

他人の作った価値観に当てはまる必要はない。

人間が孤独なのは当たり前で悲観する必要はないとの事。

運命の前では人は無力。運命に抗わず生かしていただいているという謙虚さをもって生きればいい。

ここまで悟れるかどうかわからないのですが、年齢を重ねると過去を見る自分の目に変化が訪れるそうで驚くことに90歳の時の自分と、103歳の時の自分では自分の過去が違って見えるんだそうです。

私なんかは過去の嫌だったこととか思い返して、いまだに引きずっていたり、悲しくなったり陰鬱な気分になるときがあります。

そういうのも全て笑い流せる日が来ればいいですね。

篠田桃紅さんの行動力のすごさ

今じゃ考えられませんが、女性が25歳を過ぎてらオールドミスと言われた時代。

ましてや女性の独身なんて考えられない頃です。

著者の友人知人のほとんどはお見合いでどんどん結婚。

それなのに著者は30代後半から自由な作品作りをし40歳を過ぎて初めて個展を開き、43歳で初渡米です。

凄過ぎませんか?

30代後半って大体こんな人生かもと、ちょっと見えてくるというか人生の後半を考える頃。

でも著者は年齢を基準にものごとを考えた事は一度もないそうです。

また予定を立てなかったことが功を奏したとも言います。

作品をアメリカで紹介したいと言われ、成り行き任せにニューヨークへ行きます。

そして、そのまま2年過ごされました。その経緯なんかも面白く読みました。

篠田桃紅さんの死生観

死後なんて分からないから考えても仕方ない。

老いていくと日常が「無」の境地になっていく

やがて本当の「無」を迎えるのが死なのだと。だから「死」は怖くない。

生きている限り人は未完。そして未完のままでいい。運命には抗えない。

篠田桃紅さんがすすめている事

著者がすすめていた主な行動や考え方は下記

  • 死については考えても仕方ない
  • 人に対して過度な愛情も期待も憎しみも持たない
  • いい加減のススメ(適当という意味ではなく、ちょうど良い加減)足るを知るという事でしょうか
  • 年齢には無頓着でいい
  • いつでも面白がり、世の中を楽しむ(夢中になれるものを見つける)
  • 体が丈夫なうちにやりたい事をどんどんやれ
  • 一番最初に名乗りを上げる
  • 予定を立てず成り行きに任せる
  • 無駄な事が実は無駄じゃなく生きてくることもある

この一番最初に名乗りを上げろはよく言われますね。

レベルは低くてもいいから何でも一番最初にやるのが重要。

予定を立てないもよく言われます。

すぐに動けてフットワークが軽いというのは成功の条件なのでしょうね。

篠田桃紅さんが「103歳になってわかったこと」の2年後に書かれた本

「103歳になってわかったこと」の中で共感した部分

著者が長生きがいいのか悪いのかよく分からないと言います。

自然体で生きた著者の率直な意見で好感持ちました。

結局、幸福とは自分自身の心が決めること。

他人から見たら不幸そうでも自分が穏やかに過ごせて、それで幸福を感じれるならそれでいい

最初の方にあったいい加減具合とリンクします。足るを知る。

本当にその人が幸福かどうかなんて他人が決められない事です。

心に残った一文

劇的に進歩を遂げた時代だから、さぞその変化は目まぐるしいものだったのでしょう。

私のように百年も生きていると、たった百年でもその変わりようは激しく、いったい、この世に人類とともにその価値が失われないものはあるのだろうか、と考えさせられます。

「103歳になってわかったこと」 篠田桃紅(著)

本当にこれ思います。

私の世代だとポケベルなんてものも知ってます。

そこから今はひとり1台スマホが当たり前時代。

これからもどんどん進化していく世の中の変化は凄まじいです。

あまり深く考えず、気負わず、たまには流れに身を任せつつも、ちょうどいい加減で生きていきたいです。

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